2018/9/25
アトピー性皮膚炎タイプの赤ら顔
アトピー性皮膚炎は、慢性的に湿疹・皮膚炎を繰り返す皮膚疾患です。
思春期以降から発症したアトピーの炎症は顔、首、胸、背中など上半身に強く出る傾向があります。
アトピー性皮膚炎は炎症による赤み
アトピー性皮膚炎による赤ら顔症状は、炎症による赤みと、激しいかゆみによって耐えきれず肌を掻きむしってしまうことで、肌に赤みが出てしまうことが原因に考えられます。
肌の炎症の程度は、アトピーの症状段階によって異なりますが、乾燥による赤みや、重症なものだと「腫れ」を伴う炎症により赤みがでてきます。
バリア機能や免疫異常による先天的な要因が強い
アトピー性皮膚炎になる要因は、明確になってはいませんが、主な原因はバリア機能異常と免疫の過剰反応による先天的なものと考えられています。
アトピー性皮膚炎の方の多くは、家族に気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎・アトピー性皮膚炎などの疾患にかかっている人がいたり、または本人がこれらのアトピー素因を持っていることが多いです。
年齢によって皮膚症状にも特徴がありますが、いずれも強いかゆみを伴い、一般に季節によって悪化したり、落ち着いたりを繰り返します。
乾燥しやすい冬季や春先、あるいは夏季の運動時に悪化する傾向が強いです。
多くは乳児期に発症しますが、近年では小児期から成人期に発症することが急増しています。
もともとアトピー素因をもっている他に、長期間皮膚に加わる強い刺激やストレス、疲労なども免疫を不安定にしてアトピー性皮膚炎を悪化させることがあると言われています。
主な治療方法はステロイド外用薬
アトピー性皮膚炎はとても複雑な疾患のため、治療方法は医師によっても異なります。
基本的には、強い皮膚症状がある場合、第一選択として用いられるのは「ステロイド外用薬」です。
ステロイドには、作用の強弱によって種類があり、皮膚状態や経過に応じて調整する必要がありますので、専門医に相談し一緒に治療方針を確認していくとよいでしょう。
治療を行い、症状が改善したら一段階軽いステージの治療に変更します。
逆に悪化した場合は治療を一段階悪いステージのものに変更し、これを繰り返して症状を安定させます。
症状段階によって治療方法・対策が変わる
前章では、主な治療はステロイド外用薬とご説明しましたが、症状が軽度の場合などは、セルフケアで改善できる場合もあります。
アトピー性皮膚炎は大きく分けると4つの症状段階に分かれている為、症状段階別の治療・対策を行う必要があるため、症状段階別の治療方法をご紹介します。
《軽度》
肌がカサカサ乾燥。かゆみがある。赤みなどの目立った変化はない。
→アトピーでも非常に軽い状態なので、スキンケアや生活改善で良くなることが多い。
《軽症》
肌がカサカサして赤みを帯びている。乾燥が悪化したところは、白く粉が吹いているような状態。フケのようなカサカサした皮がむけて落ちるなどの鱗屑(りんせつ)の症状も出る。
→スキンケアの見直し、生活習慣を改善しながら必要であれば、免疫抑制外用薬(プロトピック軟膏など)を使用する。
《中等症》
乾燥や紅斑という赤い腫れ、鱗屑の症状が酷くなり、腫れた部分が固まる。固まった皮膚がヒビ割れし、汁が出てくることも。また引っかき傷などの跡が残りやすくなる。
→免疫抑制外用薬(プロトピック軟膏)を使用する。
※引っかき傷などの傷がある場合は、免疫抑制外用薬(プロトピック軟膏)は使用しない
《重症》
腫れて赤みを帯びて盛り上がる。粉を吹いたり皮むけする症状が一層悪化する。むくみや水泡ができたり、皮膚の浅い部分が剥がれて、ジュクジュクするびらんになることもある。
→特に症状が重たい場合は、ステロイド外用薬で炎症を抑え、改善されてきたら弱いものに変えていく。
まとめ
アトピー性皮膚炎の治療で使用される外用薬は、主にステロイド外用薬・プロトピック軟膏を処方されることが多いようです。
アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、長期にわたり皮膚の炎症が続く症状なので、この悪循環を食い止めることが重要。
そのため、できるだけ早くしっかりと炎症を抑えること、そしてうるおいを保つスキンケア、さらに皮膚への刺激を減らすことが症状コントロールのポイントです。
根治が難しい慢性疾患のため、信頼できる医師に出会い、しっかりと納得した上で治療を進めていくことも、アトピー性皮膚炎を完治させるためには大切です。