2018/10/24
酒さタイプの赤ら顔
酒さ(しゅさ)とは、原因が解明されていない炎症性かつ進行性の慢性疾患です。
30代から60代の人に多いといわれています。
症状が似通っている部分があるため、大人のニキビや脂漏性皮膚炎などと間違われることもあり、赤み・小さな吹き出物・顔面の毛細血管の拡張などといった症状を引き起こします。
また、初期症状は、発疹・日焼け・アレルギーとも見間違われることがあり、治療すべき症状だと気づかれない方も多いようです。
酒さの考えられる原因から主に行われている治療方法について解説します。
酒さになる考えられる原因
酒さの原因ですが、はっきりとした因果関係は解明されていません。
というのは、酒さそのものの認知度が低いだけでなく、どの段階からの赤ら顔を酒さとするかの診断基準が明確でないため、原因もはっきり断定できないという事情があります。
さらに、ニキビやアトピー、ステロイド依存による酒さ様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、化粧かぶれなどが合併し発症することも多いのですが、この場合もどこからが酒さで、どこからがその他の疾患なのか、診断基準、治療ガイドラインがないのが日本の現状です。
酒さになる主なきっかけとして考えられているのは、この4つの要因が考えられます。
- 外的刺激やアレルギー
- 更年期
- 血管収縮異常
- ニキビ菌・顔ダニ
しかし、実際はどれか一つが原因になるというよりも、3つの原因が複雑に絡み合って発症していることが多いとも言われています。それぞれの要因についてご説明します。
外的刺激とアレルギー
肌になんらかの刺激が与えられたとき、髪やタオルなどによる接触性の皮膚炎の他、化粧品かぶれ、日光アレルギーや金属アレルギー、食物アレルギーなどの炎症も酒さの原因となることがあります。
更年期との関係
酒さは中高年以上の女性が発症することが多いため、更年期と関係があるという説もあります。女性ホルモンの急激な減少は、皮脂の分泌を盛んにさせるので、皮脂腺に栄養を運ぶために、毛細血管が拡張するし、それが酒さの原因になる可能性があるとされています。
血管収縮異常
酒さは偏頭痛との合併が多いことから、血管収縮運動の異常も考えられます。血管が拡張したまま、収縮しなくなる原因はよくわかっていませんが、ヒスタミンやカフェイン、セロトニンなどの血管を拡張、縮小させる成分は酒さを悪化させやすいといわれています。
ニキビ菌・顔ダニ
そのほかにニキビ菌が関係しているという説、ニキビダニとも呼ばれる顔ダニの1種が原因という説もありますが、はっきりとしたことはまだわかっていません。
酒さによって赤ら顔症状がでる理由
毛細血管が拡張し、皮膚の上から血管が透けて見えることが「赤ら顔」の原因ですが、酒さも同じです。
通常は、時間が経てば血管が収縮して、顔の赤みが消えますが、酒さの人は、なんらかの要因で血管が収縮しないまま赤ら顔が続いてしまうのです。
酒さの段階症状
酒さの症状には、重症度に応じて段階があり、その症状は程度によって1度から3度の3段階に分けられます。
しかし、必ずしも1度から2度、3度へと順々に進行するわけではなく、人によってはいきなり3度から発症する場合もあります。
紅班性酒さ〈こうはんせい〉(1度)
酒さは、鼻、額、頬などに原因不明の赤みが表れ、なかなか消えないことから始まります。拡張した毛細血管が肌の上から透けて見えることや、ほてりを感じることがありますが、症状としてはいちばん軽いものです。
酒さ様ざ瘡〈しゅさようざそう〉(2度)
紅班性酒さ(1度)に加えて、湿疹が表れるのが酒さ様ざ瘡(2度)です。一見すると大人ニキビのように見えます。化膿して膿疱ができることもありますし、この頃になると症状の表れる部位が拡大していきます。
鼻瘤〈びりゅう〉(3度)
鼻瘤(3度)は、膿疱が悪化して、鼻にボコボコとしたコブができた状態です。鼻全体が赤くなり、毛孔は開き、炎症を繰り返すことで、肌が固くなります。鼻瘤は遺伝体質、血管運動神経の障害、脂漏が原因で、飲酒や胃腸 トラブルが誘因になるとされています。
酒さの治療方法
欧米では多くみられる酒さの患者も、日本では数そのものが少なく、「酒さ」治療の経験が豊富な医師の数は限られています。
また、前述したように酒さか否かの判断は難しく、一度の診断ではっきりと「酒さ」だと断言できる医師は少ないでしょう。
「酒さは一生治らない」という認識を持った医師も存在します。
皮膚科医なら誰でも酒さの症状や治療法に詳しいわけじゃないという現実を見据え、酒さに対しての知識や経験の有無を、事前にホームページや電話などで確認したうえで、受診するようにしましょう。
一般的に行われる「酒さ」の治療は投薬がメイン
一般的には軽度な酒さの場合は外用薬で様子を見ることが多いです。程度によっては外用薬と内服薬を 併用するようになります。
【内服薬】
酒さと診断された場合、抗菌作用のある抗生物質やメトロニダゾール系の内服薬が処方されることが一般的。酒さの治療では保険が効かない場合もあるので、確認が必要です。
【漢方薬】
酒さを根本から解決したい方に、漢方はおすすめです。
抗生物質や抗菌作用のある薬で、酒さの症状改善を図る西洋医学に対して、漢方薬は酒さになりやすい体質(お血)を改善することで、その症状が起こらないようにしていきます。
保険の効く漢方処方もあり、十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)などを積極的に使用する医師もいます。漢方薬は体質や症状との相性が大切なものですから、自分に合ったものが見つかれば効果に期待できます。
その他の酒さで行われる治療方法としては、レーザーがあげられます。
実際にレーザー治療で改善されるかどうかは確かではありませんが、人によっては1回のレーザーで効果を感じる人もいるようです。
ですが、外用薬や漢方薬とは違い、保険が効かないため費用が高いのが デメリットです。またレーザー治療は耐えられないほどの痛みを感じ継続できず断念される方も多いようです。
治療については信頼できる医師と出会い、酒さ治療についてご自身でもよく調べ、医師に相談し、納得のできる治療を受けていきましょう。
まとめ
酒さは、原因が明確でない皮膚疾患なので治療方法も医師によって異なります。
また日本では酒さのガイドラインがないため、酒さであっても他の皮膚疾患と間違って診断されてしまうことがあります。
酒さ自体を完治させるのは、原因が明確でないため、なかなか困難ではありますが、信頼できる医師に相談しながら納得のいく治療方法を行うことが改善への近道になります。